学生生活・就職のTOPICS 「自分も相手も大切に」をテーマに大学院生が健康教育を実施
12月5日、久留米大学附属中学校の1年~3年生を対象に、本学大学院医学研究科助産学分野の大学院生が、「自分も相手も大切に」をテーマとした健康教育を実施しました。
本取り組みは、助産学分野で毎年行っているピア・エデュケーション活動の一環として実施されているもので、思春期を迎える中学生とともに、身体や心の変化を理解し、自分自身と周囲の人を大切にすることについて考えることを目的としています。
授業の前半では、「思春期の身体とこころ」をテーマに、身体の成長と心の変化には個人差があることや、周囲と比べて悩んだり、不安を感じたりすることは誰にでもあることを伝えました。「自分の魅力は人と比べて決まるものではない」というメッセージに、生徒たちは真剣な表情で耳を傾けていました。今回は、「自分の気持ちだけでなく、相手の気持ちを考えること」を特に大切なポイントとして授業が進められました。日常生活の中で起こり得る発言や行動を例にあげながら、悪気がなくても相手を傷つけてしまうことがあることについて考えました。
続いて、劇を通して人間関係における気持ちのすれ違いを取り上げ、デートDVについて学びました。カップル同士であっても、相手をコントロールしようとする言動や、嫌だと感じる行為は暴力にあたること、またデートDVには、心への暴力、身体への暴力、性的な暴力、経済的な暴力、社会的な暴力といったさまざまな形があることが説明されました。生徒たちは、友だちと意見を出し合いながら、自分だったらどう感じるかを考えました。
後半では、SNSの使い方についても取り上げ、知らない人と簡単につながれる便利さの一方で、個人情報の取り扱いや投稿内容によってはトラブルにつながる危険性があることを、劇を交えながら分かりやすく伝えました。投稿前に「誰かを傷つけていないか」「個人情報が含まれていないか」を確認することや、正しい情報を見極める力(ネットリテラシー)の大切さについて学びました。
最後に大学院生たちは、「自分を大切にすることは、相手を大切にすることにつながる」というメッセージを生徒たちに伝えました。
生徒代表からは、「思春期の身体とこころの変化、人との関わり方について理解を深めることができました。思春期の身体の発育には個人差があり、それに伴って性に関する悩みやこころの変化が表れることを学びました。相手と良い関係を築くには、相手の気持ちに配慮した行動をすることが大切だと分かりました。また、SNS上でのコミュニケーションでは、個人情報を隠すことや、SNSのリスクをよく考えた上で行動することで、トラブルを防ぐことができると改めて理解することができました。この講話で学んだことを生かして、友だちと日々良好な関係を築いていきたいと思います」と感謝の言葉が述べられました。
大学院生たちは、今回の健康教育において、中学校と連携しながら設定されたテーマのもと、生徒の発達段階や日々の学校生活を思い描きながら、どのような内容をどの順序で、どのような言葉で伝えるかを丁寧に検討し、準備を進めました。
授業当日は、そうした準備を踏まえて講演を行い、学校という教育の場で健康教育を担う経験を重ねることができました。また、思春期の子どもたちに向けて発信した「自分も相手も大切にする」という視点を、大学院生自身も、人と関わる専門職としての姿勢や自らの在り方に重ね合わせ、改めて考える機会となりました。
今後も、本学では地域や教育現場と連携しながら、健康教育を通じて次世代の健やかな成長を支えていきます。