久留米大学 大学院心理学研究科

歴史ある心理学教育、科学者-実践家モデル、充実した臨床教育、地域に根差した人材育成、多様なニーズの尊重

久留米大学 大学院 心理学研究科 メインビジュアル

研究科概要

前期博士課程

心理学研究科は心理学科の上に位置づけられた、九州の私学でもっとも長い歴史と伝統を持つ心理学専攻で350人以上の修了生を輩出しています。学部から大学院までを見通した専門性の高いカリキュラムにより、臨床実践と研究活動が好循環となる研究者と心理専門職を養成しています。

臨床心理学専攻と人間行動心理学専攻の2専攻があり、臨床心理学専攻では科学者‐実践家モデルに準拠するプログラムにより国家資格である公認心理師の受験資格が得られます。また日本臨床心理士資格認定協会の第1種指定校として充実した臨床教育を行っています。

人間行動心理学専攻では、優れた研究を行う能力を培うことを基本的な役割とするとともに、心理学および周辺領域の専門職に必要な高度な専門的知識と実践力の育成を目指しています。研究職を目指す以外にも教育分野や官公庁に就職することや、看護師や作業療法士などの有資格者が修士号を取得することでキャリアアップを目指すなど、専門的知識を持って広く地域に貢献できる人材を育成しています。

前期博士課程1 前期博士課程2

後期博士課程

後期博士課程では、博士の学位を取得した優れた研究者の養成を基本的な役割とするとともに、心理学に関する専門職等に必要な高度な専門知識と研究能力の育成を目指しています。

後期博士課程1 後期博士課程2

教育方針(3つのポリシー:アドミッション、カリキュラム、ディプロマ)全文はこちら

取得可能な資格・免許

  • 公認心理師 受験資格
  • 臨床心理士 受験資格

臨床心理学専攻で取得できる免許教科

  • 高等学校教諭専修免許状
  • 公民

人間行動心理学専攻で取得できる免許教科

  • 高等学校教諭専修免許状
  • 公民

教員紹介

臨床心理学専攻

2025年4月現在 [五十音順]

担当教員 1.専門領域 2.資格 3.臨床歴 4.研究テーマ 5.メッセージ
伊藤 弥生
  • 臨床家族心理学(家族療法・ブリーフセラピー)
  • 博士(人間環境学)、公認心理師、臨床心理士
  • 1997年から不妊治療のクリニックで、女性やカップルのカウンセリング・サポートグループ・スタッフ支援に携わらせていただいています。このほか心理教育相談室ではプレイセラピーと親面接・思春期〜老年期の方のカウンセリング、精神科クリニックでは思春期の方のカウンセリングをそれぞれ6年担当しました。
  • 「LIFE(暮らし・命・人生)を大切にその人らしく周りともよい関係を」という願いを持ち、主にアサーショントレーニングや生殖医療に関する実践研究を行ってきました。最近はSolution Focused Brief Therapy(SFBT)とNarrative Therapy(NT)を活かした学校やスポーツ分野での研究も行っています。
  • SFBTとNTは“本人が人生の専門家である”ことを中心におき、その人らしさを大事に本人の望みにさらに近づくように支援します。希望が広がるユニークなアプローチで世界的に活用されています。好循環を目指す家族療法、“一番いい時間の使い方を考える”ブリーフセラピーの精神で一緒に学びあい育っていきましょう。
岡村 尚昌
  • 健康・医療心理学、神経・生理心理学
  • 博士(心理学)、博士(医学)、公認心理師、臨床心理士
  • 福岡県の小中学校等で15年以上スクールカウンセラーとして勤務し、気になる児童の発達・学習支援に従事してきました。また、約20年間医学部において、ストレスや睡眠に関する研究と実践を重ねています。ADHD児童の学校適応力向上を目的とした『くるめSTP』では、リードカウンセラーとして研究・実践にも携わっています。
  • 多様な生理指標(唾液中バイオマーカー、心拍や血圧、アクチグラフやマット型睡眠計など)を用いたストレスのフィールド-実験的研究を行ってきました。現在は、睡眠習慣の乱れがQOLの低下に及ぼすメカニズムや、ストレスを上手く対処する方法、ポジティブな心理状態と健康、ADHD児の学校適応力の育成などに関心があります。
  • 「こころ」と「からだ」と「社会」という3つの大きな枠組みの中で、効果的な研究や臨床実践について一緒に学びましょう。
吉良 悠吾
  • 学校臨床心理学、認知行動療法
  • 博士(心理学)、公認心理師、臨床心理士、ADOS-2臨床使用資格
  • 小児科の心理師や中高一貫校のスクールカウンセラーとして、発達障害や精神疾患、身体疾患、不登校等の学校生活上の問題に悩む子どもたちとその保護者に対して、認知行動療法を用いたカウンセリングや心理検査を行ってきました。また、精神科や大学併設の相談機関にて、発達障害や精神疾患を抱えた成人の方へのカウンセリングや心理検査も行ってきました。
  • 学校という場を通じて子どもたちの心の健康を育む方法を検討しています。具体的には、人との上手な付き合い方や考え方(個人内要因)、教師の教育行動(学校環境)、いじめ等の経験(校内イベント)と抑うつの関連を研究しています。加えて、これらの研究成果を踏まえ、中学校や高校での心理教育プログラムの開発と実践や、教師教育を行っています。また最近は、産業の場における教育行動の影響や、進行がん患者に対する心理的柔軟性に着目した緩和ケアに関する研究も行っています。
  • Evidence-based practiceの考え方をもとに、研究や臨床実践(認知行動療法)について一緒に学んでいきましょう。
佐藤 剛介
  • 社会心理学、臨床心理学、比較文化心理学、障害科学
  • 博士(文学)、公認心理師、臨床心理士、専門社会調査士
  • 精神科勤務、小・中学校と定時制高校でスクールカウンセラー、大学では学生相談や障害者支援業務を、また少しユニークな経験として精神科救急情報センターで精神科救急受診のトリアージをした経験もあります。クライアントが取り巻かれる環境(職場、家庭、地域社会、文化背景)の影響を考慮した心理支援を心がけています。
  • 人々の心理や行動と環境の相互影響過程に関心があります。社会不安、ASD、ADHD、精神的健康や幸福感の規定因に対する社会生態学的アプローチを用いた研究、近年は障害者や、障害者の取り巻かれる環境についての研究も実施しています。環境の影響に関心があるため、環境の影響についての差異が明瞭な国際比較研究や国内地域比較研究、社会状況間比較研究等を行うこともあります。
  • 研究も実践もできる臨床家を養成したいと思っています。
新牧 恭太
  • 臨床心理学・発達検査
  • 博士(心理学)、公認心理師、臨床心理士
  • 精神科では発達障がい専門外来や、大人の復職支援に携わってきました。発達検査をはじめとする心理検査を用いて、どのように工夫すれば生きづらさが軽減されるかを見立て、支援を行ってきました。また、スクールカウンセラーとして小中学生のカウンセリングや、保護者、教員に対するコンサルテーションを行ってきました。
  • がん罹患によるトラウマが、どのように人格的成長(心的外傷後成長)を促し、それががん患者の生活にどのような影響を与えるのかを研究してきました。現在は、心理療法が心理的変化に加え、実際にどのような生理的変化をもたらすのかにも関心を寄せています。
  • 実証的根拠に基づく臨床実践の深化を目指し、共に研鑽を重ねていきましょう。
田上 恭子
  • 臨床認知心理学(臨床的な問題と支援への認知心理学的アプローチ)
  • 博士(教育学)、公認心理師、臨床心理士
  • 主として身体医療における心理学的支援に携わり、チーム医療・地域連携・臨床心理学的地域援助・グループアプローチなどに力を入れてきました。このほか、総合病院精神科での心理アセスメントや心理カウンセリング、小中高スクールカウンセラーとしてスクールカウンセリングやコンサルテーションなどを行ってきました。
  • 抑うつや不安、自己愛傾向など心理的障害における記憶や認知に着目した研究を行ってきました。現在は特に死別や喪失への適応における記憶のはたらきに関心があり、「故人との継続する絆」理論に関する研究を行っています。
  • これまでの記憶を中心とした研究と保健医療分野・教育分野での臨床経験を教育・研究に活かし、共に学び合いたいと思っています。
富田 真弓
  • 臨床心理学、心理査定学
  • 博士(心理学)、臨床心理士、公認心理師
  • 複数の児童精神科・精神科での心理検査やカウンセリング、集団療法、小学校スクールカウンセラーや大学の学生相談カウンセラーとして本人・保護者へのカウンセリング、教職員へのコンサルテーション等を経験してきました。現在はオンラインでの未就学児のママの子育て支援と産婦人科で月に1回思春期以降の女性の心理相談をしています。
  • 乳幼児期や児童期の養育者支援や“心のゆとり”という視点からの心理的適応へのアプローチ、心理検査施行時の反応プロセスから適応するための対処行動を理解し、援助に役立てていくことに関心を持っています。
  • 精神科病院やクリニック、大学の学生相談や小学校スクールカウンセラー等での臨床経験を生かし、現場で活躍できる心理臨床家を育成することを目指しています。
山本 眞利子
  • カウンセリング心理学、心理療法学
  • 博士(心理学)、公認心理師、臨床心理士、認定カウンセラー
  • 臨床実践は、これまで、スクールカウンセラー、大学の学生相談室のカウンセラー、クリニックで個別及びグループカウンセリングを行って参りました。臨床現場で大事にしていることは、その人の弱さのみならず強みを見つけセラピーの中で活かすことです。ストレングスカードやストレングスシンキングカードをセラピーやグループに活かしその人のレジリエンスを高める方法を模索しています。
  • ストレングスの認知行動療法、ブリーフサイコセラピーの中でもソルーション・フォーカストアプローチ(SFA)、ストレングスアプローチ、また、マイクロカウンセリング、グループワーク等に取り組んできました。おひとり、おひとりがもっておられます“強み”をどのようにセラピーの過程で見つけ、活かすのか、そのためにどのようなアプローチがあるのかに関心があります。
  • クリニックや学校、学生相談での臨床経験を教育や研究に活かし、おひとり、おひとりの強みを活かしながら、楽しくご一緒に成長できれば幸いです。

人間行動心理学専攻

2025年4月現在 [五十音順]

担当教員 1.専門領域 2.資格 3.研究テーマ 4.メッセージ
浅野 良輔
  • 社会心理学
  • 博士(心理学)、公認心理師
  • 幸福感、対人関係、子どもの社会性に関する研究を国内外の共同研究者とともに実施しています。そのための方法論として、ペアデータ分析やマルチレベル分析、縦断データ分析にも関心をもっています。
  • 大学院の授業では、社会心理学にとらわれず、広く社会科学諸分野に関する書籍・論文の講読を行います。また、統計ユーザーとして心理統計学の成果をいかに活用していくかについても議論します。
園田 直子
  • 発達心理学
  • 博士(心理学)、公認心理師
  • 幼児期から青年期にかけての認知発達に関する基礎的な研究、青年期から成人期の時間的展望の問題、非定型発達・発達障害の理解など
  • 発達心理学は心理学のどの領域とも関連があります。また、生物・心理・社会的な観点から人の成長や変化を見ることが重要です。大学院の授業では将来心理士として役に立つ発達心理学の重要事項を中心にディスカッションをしながら学びます。
原口 雅浩
  • 知覚心理学、実験心理学
  • 文学修士
  • 運動知覚(誘導運動、運動視差、運動性奥行効果、回転立体視)に関する研究、高次脳機能障害者(主に半側空間無視患者)の機能測定およびリハビリテーションに関する研究、構造方程式モデリングおよび項目反応理論による尺度構成(自律訓練の効果測定のための不安尺度の開発、養育者の育児不安尺度の開発)
  • 人の知覚・認知過程を探るため、さまざまな創意工夫をしながら刺激を作成し、装置を組み立てて実験していくことは、とても楽しい作業です。
安永 悟

教育心理学、協同教育

  • 博士(教育心理学)、日本協同教育学会「認定上級トレーナー」
  • 協同教育(学習)の理論的・実践的研究が中心です。具体的には授業改善、教師教育、高大社接続教育に関心があります。理論的にはBanduraの社会的認知理論、Sorrentinoの不確定志向性理論、Johnsonの社会的相互作用理論に依拠しています。
  • 協同による人の変化成長に関心があります。

臨床心理学専攻について

実習

学内実習は本専攻附属の「心理教育相談センター」で複数のケースを担当して行います。学外実習は医療・教育・産業・福祉・司法の5分野について、久留米大学病院はじめ地域の実績ある施設と数多く連携して行っています。多様性の重視にも実績があり、実習プランも学生のニーズを尊重して進められます。公認心理師・臨床心理士の有資格者の専任教員に加え、卒業生や地域で活躍する経験豊富な非常勤の指導者層が厚く、様々な形の教育が受けられることも特徴です。

公認心理師・臨床心理士試験結果

公認心理師試験結果

公認心理師
資格試験年度
受験者 合格者 本学合格率 全国合格率
2025(令和7)年度 8 6 75.0 66.9
2024(令和6)年度 8 7 87.5 76.2
2023(令和5)年度 5 4 80.0 73.8
2022(令和4)年度 7 5 71.4 74.5
2021(令和3)年度 11 11 100.0 85.5

臨床心理士試験結果

臨床心理士
資格試験年度
受験者 合格者 本学合格率 全国合格率
2024(令和6)年度 8 8 100.0 66.1
2023(令和5)年度 6 4 66.7 66.5
2022(令和4)年度 6 4 66.7 64.8
2021(令和3)年度 8 5 62.5 65.4
2020(令和2)年度 9 5 55.6 64.2

本学の結果は新卒者のもの

就職状況

卒業生の多くが新卒で常勤職についています。またスクールカウンセラーなど非常勤をかけもちしながら活躍している人もいます。

就職状況 主な就職先のグラフ

主な就職先一覧(2020年以降)

医 療
  • のぞえ総合診療病院(臨床心理士)
  • 聖ルチア病院(臨床心理士)
  • 国立病院機構福岡東医療センター(児童指導員)
  • 筑水会(心理専門職)
  • 倉光病院(公認心理師)
  • 希望ヶ丘病院(臨床心理士)
  • 桜が丘病院(臨床心理士)
  • 大島病院(心理専門職)
  • 大村共立病院(公認心理師)ほか
福 祉
  • 児童養護施設嘉麻学園(心理療法担当臨床心理士)
  • 児童養護施設若葉荘(心理専門職・公認心理師)
  • 放課後等デイサービスダブルピース(個別対応職員)
  • オークニ商事株式会社こぱんはうすさくら(臨床心理士)
  • 株式会社サクラバイオ(臨床心理士)ほか
官 公 庁
  • 法務省(法務技官)
  • 福岡県職員(心理職)
  • 福岡市こども総合相談センター(臨床心理士)
  • 北九州市子ども相談センター(臨床心理士)
  • 佐賀県職員(心理専門職)
  • 宮崎県職員(児童相談所心理専門職)
  • 国東市役所ほか
教 育
  • 琉球大学教育学部附属小学校(支援員)
  • 糸島市立前原西中学校(中学国語)
  • 学校法人茨城キリスト教学園(公認心理師)ほか
一般企業
  • 東建コーポレーション株式会社
  • 株式会社ベクタライズほか