学部・大学院のTOPICS 経済学部創設30周年記念シンポジウム「地域の物語をめぐる」 を開催

久留米大学経済学部は今年創設30周年を迎え、その記念イベントとして、久留米大学経済社会研究所、コンテンツツーリズム学会と共催によるシンポジウム「地域の物語をめぐる」を6月30日に御井キャンパスで開催しました。
昨今、地域の物語への関⼼が⾼まっています。「コンテンツツーリズム」は、地域に「コンテンツを通じて醸成された地域固有のイメージ」としての「物語性」「テーマ性」を付加し、その物語性を観光資源として活用した観光のことです。「物語」が地域に新たな価値を与え、観光資源となることをコンテンツツーリズム研究は明らかにしてきました。 こうした物語の活用は、近年の地域づくりにおいて重要性を増しています。地域にあるもの(⽣産物、建築物、場所等)に人々を惹きつける物語が与えられることによって、新たな価値が生まれます。
本シンポジウムでは、映画や小説、マンガ、アニメなどのコンテンツだけでなく、地域にまつわるさまざまな人やものに付随する「物語」をキーワードにした久留米や筑後川流域の観光と地域づくりの可能性について、講演会やパネルディスカッションを通し、地域の皆さまと一緒に考えました。


講演内容
基調講演1「地域の持続可能性とツーリズム−筑後川流域での実践から」
久留米大学名誉教授 駄田井 正 氏
2018年に一般社団法人筑後川プロジェクト協会を立ち上げられ、「筑後川プロジェクト」として、筑後川・矢部川流域のもつ自然・文化・歴史・社会的価値を経済的価値に転換する活動に取り組まれてきた駄田井名誉教授に、これまでの取り組みを中心に講演いただきました。
講演では、筑後川・矢部川流域を11のゾーンに分け、自然、歴史、文化、食、ものづくりなど、流域各地の固有の特徴を生かした広域観光のプラットフォームと位置づける「筑後川まるごとリバーパーク」事業の紹介とともに、流域各地の地域特性に応じた多様な生活スタイルの実現とこれを支える経済的基盤の展望などについて話がなされました。


基調講演2「久留⽶とコンテンツツーリズム−野⽥宇太郎を中⼼に」
法政大学 大学院政策創造研究科教授 増淵 敏之 氏
コンテンツツーリズム学会会長である増淵氏に、三井郡立石村大字松崎(現福岡県小郡市松崎)に生まれ、久留米市などで盛んな詩作活動をされた活動した詩人野田宇太郎氏と久留米市との関係性などを物語としたコンテンツツーリズムについて講演いただきました。


パネルディスカッション
パネリスト:
・久留米大学名誉教授 駄田井 正 氏
・法政大学 大学院政策創造研究科教授 増淵 敏之 氏
ファシリテーター:
・久留米大学経済学部文化経済学科 岩本 洋一 准教授


パネルディスカッションでは、久留米市のどのような「ストーリー」が新たなコンテンツとして地域づくりにつなげられるかといったテーマで活発な議論が交わされました。 イベント後には懇親会も開かれ、参加者間の交流を深めるとともに、今後コンテンツツーリズムの新たな可能性について、さまざまな意見交換がなされました。
