研究・産学官連携の研究TOPICS 「ふくおか睡眠フェア2026」に特別協力として参加しました
4月24日(金)から26日(日)までの3日間、電気ビルみらいホール(福岡市)にて「ふくおか睡眠フェア2026」(主催:ふくおか睡眠フェア実行委員会)が開催され、3日間で延べ約4,200名の方が会場を訪れました。本学は特別協力として参加し、講師の派遣や精神科医師によるブース出展などを通じて、イベントを全面的にサポートしました。
近年、日本人の平均睡眠時間は先進国の中でも特に短いとされ、睡眠不足は生活習慣病や認知症、心身の不調などさまざまな健康課題と関連していることが指摘されています。本フェアは、そのような背景を踏まえ、「良質な睡眠が未来の健康をつくる」をテーマに、福岡から全国に先駆けて開催された取り組みです。
会場では、睡眠の専門家による講演やセミナーに加え、睡眠関連企業の展示ブースも多数出展。来場者に向けて、睡眠の質を高めるための実践的な情報が提供され、理解と意識の向上を促す貴重な機会となりました。
会期中、本学からは、多くの教職員が講師として登壇し、それぞれの専門分野から睡眠に関して、一般参加者向け及び医療関係者向けに様々な講演・セミナーを行いました。
25日午前は、一般参加者向けに、医学部神経精神医学講座の比江嶋啓至准教授ら4名の睡眠の専門家医師による相談コーナー「~事前質問に答える~ 睡眠Q&Aコーナー」が開催され、「子どもの睡眠問題について知りたい」「夜中に3時間間隔でトイレに行くので熟睡できない」「睡眠導入剤を服用して20年余りだが、このまま薬を飲み続けたら認知症になる?」といった様々な質問に、分かりやすく丁寧に答えていき、参加者の関心を集めました。
25日午後は、医療センター病院長・先進漢方治療センター長の惠紙英昭教授が、「東洋医学的にみた不眠症に対する実践的漢方治療」をテーマに登壇。医療関係者向けに漢方薬の特性と効能及び処方の仕方について解説しました。
25日午後の特別シンポジウムでは、医学部医療検査学科の八木朝子准教授が、「人生の質を高める、良質な睡眠~今日からできる睡眠マネジメント」と題して登壇しました。良質な睡眠とはどんな睡眠か解説し、その後、高岡本州氏(株式会社エアウィーヴ代表取締役会長兼社長)及び元プロ体操選手の内村航平さんを交えて、パネルトークを行いました。
また、トーク終了後には、内村航平さんから、会場の皆さんへサプライズのパフォーマンスが披露されました。
また、医療関係者向けの会場では、睡眠学の第一人者であり、日本睡眠協会理事長でもある内村直尚理事長が、「エビデンスに基づいた不眠症治療戦略~睡眠障害の標榜による今後の展望~」と題し、今夏に予定されている睡眠障害の標榜について、これまでの厚生労働省への要望経緯と具体的な標榜診療科を解説しました。また、今後の睡眠医療に関して、医療機関における連携と人材育成の必要性及び睡眠薬の適正使用に向けた不眠症治療の原則と出口戦略について説明しました。
25日の最後の講演では、医学部神経精神医学講座の小曽根基裕主任教授と大学病院精神神経科診療科の坂本賢治作業療法士が、「世界では常識 薬を使わず不眠を治す(認知行動療法の実践)」と題して、参加者と一緒に呼吸法や手の力の入れ方・抜き方を講演すると、特に高齢の参加者からは、大きな反響がありました。
翌26日午前の基調講演では、内村直尚理事長が、「睡眠を制するものが人生を制する~適切な睡眠が健康や幸福度の向上をもたらす~」と題して登壇しました。講演では、良質な睡眠は健康と生活の質向上に不可欠だが、世界的に見て日本の睡眠時間はとても短く、睡眠不足を感じる人や、睡眠時間が短い人の割合が多いと言われている。睡眠不足は生活習慣病や認知症など様々なリスクを高めるため、国も対策に動き出していると解説しました。また、週末の寝だめは、日頃の睡眠負債のカバーはできず、週末の遅起きが翌週の体調悪化を引き起こす。睡眠ガイド2023には「成人版」と「高齢者版」があり、成人は6時間以上の睡眠を推奨するが、65歳以上は、8時間以上の睡眠はお勧めできないとユーモアを交えて説明すると、参加者から大きな反応がありました。
後半には、メジャーリーガー大谷翔平選手からのビデオメッセージが初公開され、「親に感謝しているのは、小さい頃はずっと9時に寝て、7時半に起きていた。寝ることによって、成長もでき、健康も保つことができた。生活環境が大きかった。努力もしてきたが、睡眠も大事だった。特に子どもの成長時期が大事。」と紹介されました。
その後、競泳オリンピックメダリストの松田丈志さんをゲストに迎えたトークセッションが行われ、現役時代の極限の集中力を要する競技生活において、いかに「睡眠」を戦略的に取り入れてきたのかをユーモアを交えて話され、会場は大きな笑いに包まれました。また、寝るだけ寝たい気持ちもあったが、最低7時間は寝るように心がけていたと話されると、その内容について、内村理事長が具体的な例を交えながら解説を行い、講演を締めくくりました。
このほかにも、本学からは以下の教員が講師として登壇し、それぞれの専門的な立場から多様なテーマで講演・セミナーを実施し参加者は日々の睡眠にまつわる課題やその対策について、具体的かつ実践的な知識を得る機会となりました。
- 「食と睡眠から考える糖尿病治療の新たなフレームワーク」 久留米大学病院 病院長 野村 政壽
- 「眠りで未来の脳を守る~認知症予防と上手な眠り方」 久留米大学高次脳疾患研究所教授 小路 純央