地域貢献のTOPICS 第81回精神保健シンポジウム「スポーツ・学習と睡眠」を開催

第81回精神保健シンポジウム「スポーツ・学習と睡眠」を開催

12月21日、久留米シティプラザ・久留米座にて、「スポーツ・学習と睡眠」~質の高い眠りが未来を変える~をテーマに、第81回精神保健シンポジウムが開催されました。

本シンポジウム(主催:久留米大学医学部神経精神医学講座、公益財団法人日本精神衛生会)は、近年社会的な関心が高まっている「睡眠の重要性」について、スポーツ・学習・健康維持といった多角的な視点から知識を深めることを目的としたものです。当日は、小・中・高校生や大学生、その保護者、教育・医療関係者など、幅広い層の方々にご参加いただきました。

睡眠は「パフォーマンス向上」の鍵

開会にあたり、日本精神衛生会理事長の小島卓也先生よりご挨拶があり、続いて本学医学部神経精神医学講座の小曽根基裕教授の司会進行のもと、各専門家による講演が行われました。

前半の部では、「学習と睡眠」を軸に5名の方々が登壇されました。

  • 加藤隆郎 医師:「学習と睡眠ーなぜ睡眠が必要か」
  • 大西良 准教授(筑紫女学園大学):「小学生・中学生における睡眠パターンと登校状況に及ぼす影響」
  • 平山雄貴さん(本学医学部医学科):RMCP(リサーチマインド育成プログラム)での研究発表「成績と睡眠の関係」
  • 坂田真一 先生(久留米大学附設高校):「附設生の睡眠の実態」
  • 中尾哲也 先生(久留米高専):「高専生の睡眠調査」

それぞれの立場から、睡眠が学習効率やメンタルヘルスに与える影響について、具体的な調査データに基づいた貴重な報告がなされました。

平山雄貴さん(本学医学部医学科):RMCP(リサーチマインド育成プログラム)での研究発表「成績と睡眠の関係」
平山雄貴さん(本学医学部医学科):RMCP(リサーチマインド育成プログラム)での研究発表「成績と睡眠の関係」
中尾哲也 先生(久留米高専):「高専生の睡眠調査」
中尾哲也 先生(久留米高専):「高専生の睡眠調査」

パネルディスカッション:学習と睡眠 ~記憶と集中力を最大限に引き出す~

続くシンポジウムでは、福岡県教育委員会の寺崎雅浩教育長と小曽根教授が座長を務め、参加者からの質問に答える形式で議論が交わされました。

「記憶定着には睡眠が重要だが、朝の学習は効果がないのか」という問いに対し、附設高校の坂田先生からは「英単語などの暗記物は夜に行い、数学などの思考力を要する学習は脳がフレッシュな朝に行う。そうすることで学習に加速がつく」といった、実践的なアドバイスが送られました。


シンポジウム、パネリストの皆さん
シンポジウム、パネリストの皆さん
座長の小曽根先生
座長の小曽根先生

特別講演:アスリートが向き合う休養とコンディションのあり方

後半の部では、比江嶋啓至先生による「スポーツと睡眠~最高のパフォーマンスを引き出す眠りは~」の講演に続き、ゲストとして福岡ソフトバンクホークスの本多雄一コーチが登壇。特別講演「アスリートが向き合う 休養とコンディションのあり方」が行われました。

プロの第一線で活躍してきた本多氏自身の経験談を交えたトークに、会場は大いに盛り上がりました。中学生の保護者からの「日中眠くなる子どもへの対処法」という質問に対し、本多氏は「部室や机で少し寝てみて、自分の調子が上がるか試してみるのも一つ」と回答。また、自身の少年時代を振り返り「親に勉強しろと言われたことはなく、大好きな野球に没頭していた」といったエピソードを披露し、会場を和ませました。


本多コーチ
本多コーチ

質の高い眠りで、より良い未来を

「睡眠は単なる休息ではなく、身体的・精神的な健康の維持、パフォーマンスの向上、そして効率的な学習や働き方の実現に欠かせない要素である」というメッセージが、全編を通して伝えられた今回のシンポジウム。適切な睡眠習慣をデザインすることが、子どもたちの学習やスポーツ、そして大人たちの充実した生活に繋がることを再認識する貴重な機会となりました。

多くの皆様にご参加いただき、盛況のうちに幕を閉じることができました。