地域貢献のTOPICS 認知症の人と家族を地域で支える「顔の見える連携」を目指して~認知症事例検討会を開催
2026年3月10日、久留米大学病院において「第26回認知症事例検討会」が開催されました。
久留米大学病院は、2011年11月に福岡県から「福岡県認知症医療センター」の指定を受け、地域における認知症支援の中核的な医療機関として、医療・介護・行政など関係機関と連携した支援体制の構築に取り組んでいます。
本検討会もそうした取り組みの一環として開催されているものです。同センターでは、本検討会の開催に加え、地域住民を対象とした啓発イベント「オレンジ健康フェスタ」なども実施しており、認知症への理解を深める取り組みも進めています。
当日は、地域の医療・介護・福祉分野の支援者をはじめ、地域包括支援センター職員や行政関係者など、多職種の関係者約40名が参加しました。
本検討会は、認知症の人やその家族への支援について実際の事例を共有し、職種の垣根を越えて意見交換を行うことで地域における支援ネットワークの強化を図ることを目的に、年4回の開催を予定しています。新型コロナウイルス感染症の影響により開催を見送っていましたが、地域の保健医療福祉関係者からの要望を受け、今回およそ6年ぶりの開催となりました。
開会にあたり、高次脳疾患研究所の小路純央教授が挨拶し、認知症支援において医療・介護・福祉など多職種が連携することの重要性について述べました。
事例検討会:「認知症の人やその家族の在宅支援における多職種連携」
メインプログラムの事例検討会では、「認知症の人やその家族の在宅支援における多職種連携」をテーマに、久留米中央第2地域包括支援センターの主任介護支援専門員である金子蘭子氏が実際の支援事例を紹介しました。
このセッションでは、本学看護学科で老年看護学を専門とする古村美津代教授がファシリテーターを務め、紹介された事例について、参加者が6つのグループに分かれて意見交換を行いました。それぞれの専門的な立場から支援のあり方について議論し、グループでまとめた内容を発表することで理解を深めていきました。
参加者の声
介護職(ケアマネジャー)の参加者からは「医療職の方と意見交換をする機会は日常業務では多くはなく、今回の検討会では、多職種の視点から具体的な支援の考え方を共有することができ、大変参考になった」といった感想が寄せられました。
また、行政・地域支援関係の参加者からは「それぞれの専門職の視点や支援の考え方を知ることができ、顔の見える関係を築くことが、地域での連携につながると感じた」といった声も聞かれました。
古村教授は、今回の事例検討会を振り返り「認知症の人や家族を支えるためには、それぞれの専門職が持つ視点や経験を共有しながら支援を考えていくことが重要。こうした事例検討の場を通して、互いの役割や考え方を理解し合い、地域の中で連携を深めていってもらえたら」と検討会の意義を語りました。
ミニレクチャー:「久留米大学病院と共同実施している認知症に関する取組」
後半のミニレクチャーでは、久留米市役所長寿支援課の鹿毛彩子氏が登壇し、「ものわすれ予防検診」や「ものわすれ座談会」、「認知症機能検査とトレーニング」といった「久留米大学病院と共同実施している認知症に関する取組」について紹介されました。
その他、地域独自の取り組みとして、スーパーマーケットや銀行、コンビニエンスストアなどの地域企業と連携した「久留米市チームオレンジ(オレンジ協力隊)」なども紹介され、専門職による支援だけでなく、地域の企業や住民にも認知症への理解を広げることで、地域全体で見守る環境づくりを進めていくことの重要性が共有されました。
地域連携による認知症支援のさらなる推進へ
今回の検討会では、多職種がそれぞれの立場から意見を交わし、認知症の人やその家族を地域で支えるための連携の重要性を改めて共有する機会となりました。
本学では、高次脳疾患研究所や看護学科が中心となり、久留米市と連携して15年以上にわたり「ものわすれ予防検診」を実施するなど、認知症の早期発見・早期治療に向けた取り組みを続けています。今後も久留米大学病院では、今後も地域の医療・介護・福祉関係者との連携を深めながら、認知症の人と家族を支える地域支援体制の充実に取り組んでまいります。